大判例

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東京高等裁判所 昭和37年(ネ)1303号・昭37年(ネ)1314号 判決

第一審原告 日笠頼則

第一審被告 上野素子 外三名

〔抄 録〕

(二)の貸室は、これについての賃貸借契約は第一審原告先代日笠有二と第一審被告上野正秀との間に締結されたものではあるけれども、昭和三十一年一月契約の当初から右正秀の娘である第一審被告上野素子がこれに居住し専用していたものであることは引用にかかる原判決理由の示すとおりである。そして、右賃貸借契約の際、当事者間では、専ら正秀の娘の素子の居住使用に供する諒解が存在し、右諒解に基いて素子はこれに居住、専用していたものであつて、右素子の(二)の室使用について従前原告先代並に原告らから何等の異議を述べたことがなかつたことは、原審並に当審における第一審被告上野正秀本人尋問の結果によつてこれを認め得べく、又同尋問の結果によれば、素子は音楽大学の声学科を卒業して日も浅く、未だ独立の生計を営む丈の経済上の収入もなく、主として父正秀の援助によつてその生計を維持するもので、正秀が昭和三十四年十月(一)の室を退去してからも同様の状態が続いて居たことが認められる。

従て、以上の事実関係の下においては、正秀が(一)の室の退去によつて他に移転したとしても、(二)の室の使用関係はその前後において実質上何等の変動はないから、正秀の(一)の室の退去によつて(二)の室の賃借権を素子に譲渡し又はこれを転貸したものと認めるのは該らない。

(牛山 岡松 今村)

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